ロンドンに生まれたケリーは、教育も満足に受けられず、けっして恵まれているとは言えない幼少期を過ごしました。ガイアナ、ポルトガル、インドの血を引いていたため、彼女には「自分は●●出身だ」という意識はなく、自身をコスモポリタンとしてとらえていました。

だからこそ、ケリーの作品には、希望、自己発見、楽観主義などが見られるのです。幼い頃に自由を享受できなかったこともあり、彼女は創作においても人生においても自由であることを望んでいます。彼女が独自の観点で、さまざまな素材による多様なスタイルの作品を研究してきたのは、自由を求めてやまない心があったからです。

ケリーは、自分が旅行好きなのは、多文化の影響を受けて育ったためだと考えています。飛行機に乗って空高くから地球を見下ろすと、わくわくして解放感が味わえるそうです。そしてそのときの景色が、創作のインスピレーションとなることが多々あるのです。

ケリーは地図作成法に強い関心を持っており、しばしば創作の初期段階に活かしています。作品内に込めた自身のアイディアと、作品が設置される場所の歴史や風景を結びつけるために、地形学を利用するのです。

ケリーの作品は、町並みと地形が組み合わさっていて、まるで空からの眺めのようです。平面や立体の、おもに壁掛け式のインスタレーションに表現されているのは、彼女がインスピレーションを受けたイギリスや世界各地の抽象的なイメージなのです。

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Profile

ケリーは1991年にキャンバーウェル美術学校を卒業しました。さらにブライトン大学に入学し、1994年に卒業。その後、2001年にロンドンのシティ大学で芸術批評の修士号を取得しました。

1996年に「ビスケット・スタジオ」を設立。日本人やトルコ人を含む多くのアーティストやデザイナーが、そこで創作活動を行ってきました。ケリーは、ビスケット・スタジオを文化交流や芸術実践の場に発展させていこうと考えています。

またこの間、ケリーは「ホーブ・アーツ」の設立メンバーとなりました。ホーブ・アーツとは、イギリスの主要なアート・フェスティバルの一環として、芸術家の住居、スタジオ、工房をつなぐ役割を担っている団体です。

ケリーと日本との関わりは、2002年にさかのぼります。「アーティスト・イン・レジデンス」プログラムで、日本に数か月滞在したのです。最近では、2008年に開催された「第8回国際陶磁器フェスティバル美濃」で入選し、101点のクチュール・カップを展示しました。

現在、イギリス、デンマーク、ドイツでの展示に加え、鴬歌陶磁博物館(台湾)、滋賀県立陶芸の森(日本)、ブライトンおよびホーブの美術館などに、ケリーの作品が収められています。

ケリーの作品は、「The Times」「The Guardian」「Elle Decoration and Homes」「Gardens」など、イギリスの各メディアで広く取り上げられています。

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